イルカ問題。各水族館の反応まとめ。

JAZAがWAZAから突き付けられたイルカの入手問題について。
ことの顛末や今後の課題、私個人的な感想などはおいといて。

ここでは各水族館の反応についてまとめてみました。引用してきた記事については下の方にまとめてドカっと載せています。

「私が」水族館がどういう反応やコメントを出していたかの一覧が欲しかったので。個人的なメモ程度です。

※コメント等は順不同です。
※記事については新しい記事が上にくるようにしています。
※随時私が新聞等の記事を発見次第追加していきます。


※各水族館の初期反応(?)は出そろった感があるので、2015年5月26日で更新をいったん完了とします。また新たな展開などがあれば別記事として書くかもしれません。
(これ以上ニュースを追っても香ばしい記事ばっかりになりそうなので(;´・ω・))


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うみたまご
・つくみ含め27頭中26頭が太地
・田中平館長「他の施設と協力してイルカを繁殖させ頭数を維持できるかにかかっている」
今月下旬に兵庫県姫路市であるJAZAの総会で他の水族館と協議し、他館との繁殖体制が取れなければ脱退する可能性を示唆した。既に購入したイルカの展示に影響はないとする一方、「野生の血を入れないと、(近親交配など)血統の問題が起きる。イルカの展示に将来はない」
(22日産経では組織の決定に従い繁殖に力を入れるとコメントあり)


くじらの博物館
・太地町の追い込み漁で捕獲されたバンドウイルカや、ハナゴンドウクジラなど約50頭を飼育。
・林館長「JAZAは、WAZAとの間に入って調整をしてくれただけに、苦渋の決断だったのではないか」
・桐畑副館長「今後もう一度、追い込み漁についてJAZAにも説明し、町とも相談して対応を協議していきたい。しかし、それでもだめなら除名処分も甘んじて受け入れる」


浅虫水族館
・太地からハンドウ6頭、日本海で混獲されたカマイルカ4頭
・太田館長「(追い込み漁を問題視する世界動物園水族館協会に)残ったことは正解だと思う。追い込み漁を見たことがあるが、漁師はイルカを丁寧に扱い、傷のない状態で提供してくれる。どこが残酷なのか」
・今後のイルカの頭数確保は現在飼育しているイルカでの自然妊娠を軸に進める方針を明らかにした。将来的には人工授精の可能性もあるとして「繁殖は難しいとは思っていない」との見方を示した。
・管理部広報企画担当の伊藤次長「繁殖行動が見られたら、メスの定期的な検査を徹底し健康な子どもを産ませるよう万全な体制で臨む」
・太田館長「現在われわれにそこまでの技術はないが、情報を積極的に収集したい。パフォーマンスだけではなく、繁殖に力を入れることで命の大切さを問題提起し、時代のニーズに合った水族館運営をしていかなければならない」


おたる水族館
・4頭のハンドウのうち3頭は太地から。
・繁殖に必要な野生の個体を入手するのに、追い込み漁以外の手段がないわけではない。技術や費用面でハードルは高いが、他の水族館と個体を交換する方法もあるのでは。
・残留に1票を投じたおたる水族館(小樽市祝津)の伊勢伸哉館長は「当館は直ちに死活問題に直面することはないが、世界とつながり続けることを選んだ以上、WAZAを通じて各国から飼育繁殖のノウハウを取り入れたい」と話した



魚津水族館
・イルカ飼育なし。
・【残留】を求めた。イルカを飼っていないので、結論がどちらでも直接の影響はない。ただ、WAZAを抜けるのは好ましくない。


大洗水族館
・オキゴンドウとバンドウ7頭は太地町から購入。カマイルカ2頭は京都府の水族館から。
・館長「うちではイルカはサメとマンボウに並ぶ目玉の動物。それだけに今回は水族館の存続にかかわる重大問題と受け止めている。今後については、JAZAや県と協力しながら検討していく」
・担当者「プールの増設を含めて対応を検討し、繁殖に力を入れる」


越前松島水族館
・太地町からの5頭を含むバンドウイルカ7頭。県内の定置網にかかり保護したカマイルカ4頭を飼育している。
・鈴木館長「追い込み漁による入手断念の判断に、早急に対応するべきことはない。バンドウイルカについては、96年と12年に各1頭の繁殖に成功している。今回の決定は、全国の水族館にイルカの繁殖を共通課題と位置付けたとも言える。今まではほとんど実施されてこなかった水族館同士のイルカの交換や、雄のやりとりなども行われることになるだろう。他の水族館との連携を強化し、繁殖事業に注力していきたい」


マリンワールド海の中道
・飼育する21頭のうち11頭を太地町から入手。
・高田浩二館長「太地町のイルカ漁は国内法で認められ、漁は日本固有の文化。購入が問題とは思わない」


マリンピア日本海
・7頭いるイルカのうち3頭が太地町のバンドウイルカ。
・加藤治彦館長「追い込み漁は、合理的なものでどこが残酷なのか定義がされていないなかで戸惑いがある。地方の特性に配慮せず判断を急いだ世界動物園水族館協会のやり方は稚拙だったと感じる。今後の対応は日本動物園水族館協会の方針を待って判断するが、イルカを飼育するわれわれもどういう提案ができるのか、自分たちの問題として考えなければならない」


鴨川シーワールド
・飼育するバンドウイルカ13頭のうち4頭が太地町から、1頭が静岡県から入手。8頭は館内で繁殖し、1999年を最後に太地町からは入手していないという。
・広報担当者「現時点で困ることはないが、今後繁殖が順調にいくか分からないので、影響がないとは言えない。協会の決定に従い、内容を検討した上で行動していきたい」


二見シーパラダイス
・飼育している3頭のイルカすべてが和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカ。
・担当者「今後は他の水族館と連携を強化し、繁殖の方法を模索していきたい」
・竹内義樹副部長「世界中の動物園や水族館と情報共有できるという点で、国際組織に残留するという決定は妥当だったと思う。ただしイルカの展示を維持していくことは正直、苦しくなると思う。今後は他の水族館と連携を強化し、繁殖の方法を模索していきたい。イルカに頼らない水族館の運営を考えていきたい」


鳥羽水族館
・海外で捕獲し、繁殖させたイルカを飼育。
・仲野千里館長「今回の決定は施設に直接影響はないが、イルカショーは、水族館にとって重要な要素であり、議論もなく投票で残留を決めた協会の運営方法は納得がいかない」


志摩マリン
・イルカは飼育なし。
・「今回の決定が、希少動物の種の保存や繁殖技術の向上につながるきっかけになってほしい」


あわしまマリンパーク
・太地町の3頭のイルカを飼育する。
・佐藤充館長「決定は残念の一言。伝統的、合法な追い込み漁は捕獲計画も科学的根拠に基づく。WAZAの言う『残酷』とは何なのか。日本側に回答を示さず、一方的に残留か脱退かを迫るWAZAと、反論しないJAZAに不信感を抱いている。捕鯨問題と同じで、欧米の価値観で問題解決を迫ってくる。対話すらなく、日本の伝統文化を否定する組織に残留する必要性はない。今後、JAZA脱退も選択肢の一つとして検討する」


下田海中水族館
・飼育している14頭のイルカのうち、8頭を和歌山県太地町から入手している。
・浅川弘営業課長「JAZAには追い込み漁は正当だというこれまでの主張を貫いてほしかった。繁殖に力を入れる方針だが、繁殖用プールの確保や繁殖技術の向上などの課題があるほか、水族館単位で繁殖を続けると、近親交配によって遺伝的な多様性が失われるリスクもある。今すぐに影響はないが、将来的に自然界のイルカが必要になるときがくる。そうなればJAZAから脱退をせざるを得ないだろう」


三津シーパラダイス
・飼育している19頭のイルカの大半を太地町や伊東市から調達。
・施設を運営する伊豆箱根鉄道の広報担当、志村博さん(51)「JAZAの決定に従う。これからは、繁殖のために水族館がイルカを貸し借りする『ブリーディング・ローン』が一層盛んになるのでは」


登別マリンパークニクス
・飼育する8頭のイルカのうち、4頭を太地町から入手。
・桑山未来館長「水族館の存続に関わる重大な決定だ。イルカショーは同館の目玉だ。いずれショーができなくなるかもしれない」


かごしま水族館
・9頭いるイルカのうち7頭が和歌山からきている。
・荻野洸太郎館長「いつまでも野生のイルカを入れることよりも、日本の水族館も繁殖に力を入れていい時期だと思う。しかし、繁殖は簡単なことではない。これまで11頭の妊娠例があるが、順調に成長しているのは2頭のみ。職員の経験や技術、繁殖のための環境面など難しい部分もあるが、繁殖への取り組みを進める方針。現在は2頭が妊娠していて、何とか成功させたい」


城崎マリンワールド
・飼育する17頭のうち15頭は、近隣の定置網に掛かり保護された個体。太地町で捕獲されたのは、約20年前に入手した1頭のみ。
・3年ほど前から繁殖に取り組んでいるが、技術の確立には至っていない。「技術が確立され繁殖が主流になった場合、血統の問題も生じる。今後は動物交換や情報共有など、一層の会員同士の連携が重要になってくるのでは」


須磨海浜水族園
・飼育しているイルカ7頭のうち6頭を和歌山県太地町で入手。
・担当者「繁殖計画に取り組もうとした矢先だっただけに動向を注視していた。今回の決定が、さまざまな議論が進むきっかけになるのではないか」


京都水族館
・8頭のイルカを飼育。
・「コメントできない」


新江ノ島水族館
・飼育するバンドウイルカ10頭のうち野生個体が3頭(伊東市2頭、壱岐市1頭)で、7頭は繁殖。太地町との取引は20年近くない。
・「長期的な影響は未知数だが、太地町から調達できなくなってもすぐに困ることはない」
・海獣類チームリーダーの奥山さん「次世代に命をつなげる大切さを伝えようとう理念でやってきた。個々の水族館でやっていたものを、協会を通じて日本全体でやっていこうということとプラスに捉えている。全水族館がうまく協力し、調整しないと難しい。展示がメーンの動物園とは違い、水族館のイルカはショーを見せる形でやっている。集客がないと餌代も払えない。まずは経営を守ることが最優先。貸し出しの態勢の整備やルールづくり、血統管理などで今まで以上に協会の調整が必要。(海外に多い)人工授精も考えなければならない。協会の方から要請があれば技術的な協力や助言は惜しまない。水族館の仲間たち全体の問題として、できる限りのことはしたい」


アクアマリンふくしま
・イルカ飼育なし。
・単独で世界協会にも加盟している。
・安部義孝館長「国際組織に加盟し関係を維持しながら運営するという決定は妥当だ」


加茂水族館
・イルカ飼育なし。
・奥泉和也館長「イルカを飼育展示する館同士が連携し、繁殖に力を入れるしかないのではないか」


八景島シーパラダイス
・イルカ・鯨類33頭を飼育。約半数が太地町から来た個体。
・1993年の開園時から繁殖にも取り組み、最近5年間では2頭が誕生、無事成長。
・広報担当者「協会の決定には従う。数年前から計画的に繁殖に取り組んでいる」


油壺マリンパーク
・10頭のバンドウイルカを飼育。
・繁殖では過去に3頭の出産例はあるが、いずれも生後1年以内に死んだ。
・広報担当者「(今回いの決定とは関係なく)改善に努め、繁殖していきたい」




※中日新聞2015年5月25日より

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中日新聞
2015年5月25日
沼津の水族館など5施設 日本協会脱退も検討
◆イルカ入手問題
 日本動物園水族館協会(東京)が和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカの入手を会員施設に禁止したことを受け、現在イルカを飼育する34の会員施設のうち5施設が、太地町からの入手を継続するため、協会脱退を含めた検討をしていることが、共同通信の各施設への取材で分かった。ほかに2施設が、将来的に脱退を検討する可能性を認めた。
 脱退を含め検討していると答えたのは、登別マリンパークニクス(北海道)、あわしまマリンパーク(沼津市)、下田海中水族館(下田市)、くじらの博物館(和歌山)、大分マリーンパレス水族館うみたまごの五施設。
◆一方的禁止に疑問 マリンパーク・佐藤館長
 「合法的な漁でのイルカ入手を一方的に禁止することは疑問。話し合いもできない世界動物園水族館協会とつながる必要があるのか」。沼津市のあわしまマリンパークの佐藤充館長は、日本動物園水族館協会からの脱会も視野に入れている理由を説明した。
 同館のバンドウイルカ三頭は、和歌山県太地町から調達した。倫理規定に触れるとする世界協会の主張に従えば、「資源を減らさないよう配慮している太地町のイルカ漁の否定になる」と考えている。
 繁殖にも取り組むが、過去に約四十頭生まれた赤ちゃんイルカで成長したのは三頭。海中のポリ袋を間違えて食べて死ぬこともあるため、繁殖に重点を移す場合は、陸上プールを新たに整備する必要に迫られ、コスト上の問題が生まれる。
 動物園などには世界協会のネットワークを生かした希少種の貸し借りに期待する声があることに関し、佐藤館長は「展示しているのは近海や国内の魚で希少種の入手は動物園の問題だ。協会に入るメリットは飼育技術の情報交換だった」と話す。今後、追い込み漁に頼らないイルカの捕獲方法があるかを調べた上で、脱会するかどうかを判断するつもりだ。


<水族館のイルカ入手問題> 日本動物園水族館協会の会員が和歌山県太地町の追い込み漁によるイルカを入手していることを問題視している世界動物園水族館協会が4月21日、日本協会の会員資格を停止、1カ月以内に改善されなければ除名すると通知した。日本協会は残留するかを決めるため、会員152施設(動物園89、水族館63)による投票を実施。結果は残留が99票で、離脱の43票を大きく上回り、日本協会は20日、会員が追い込み漁イルカを入手することを禁止し、世界協会に残留すると決めた。



カナロコ
2015/05/23 3:00
イルカ繁殖「全水族館で協力を」新江ノ島水族館
 世界動物園水族館協会への残留と引き換えに、日本動物園水族館協会がイルカの調達方法を漁から繁殖へ転換する方針を決めた。ただ、全国レベルでの繁殖推進には課題も少なくない。旧江の島水族館時代に国内で初めてバンドウイルカの繁殖に成功した新江ノ島水族館(藤沢市)は、水族館の間での調整が不可欠と提言している。
 ◇
 同館で飼育するバンドウイルカは現在計10頭。3頭は静岡と長崎から野生で搬入され、残りの7頭は館内で繁殖したという。
 1959年に国内初の繁殖に成功し、これまで100以上の出産例がある。この1年で2頭の子イルカが相次いで誕生したばかりだ。当初は1割未満だった1年後生存率も、近年では7割超になるなど、ノウハウを受け継いできた。
 飼育暦28年の海獣類チームリーダーの奥山康治さんは、繁殖を重視する理由を「次世代に命をつなげる大切さを伝えようとう理念でやってきた」と語る。
 98年を最後に、和歌山県太地町とのバンドウイルカの取引はしていない。今回の日本協会の方針転換を、奥山さんは「個々の水族館でやっていたものを、協会を通じて日本全体でやっていこうということとプラスに捉えている」。一方、繁殖に調達を絞れる可能性については「全水族館がうまく協力し、調整しないと難しい」と懸念もする。
 遺伝の多様性を確保するため、繁殖には水族館同士でイルカを移動させる必要がある。だが、時間をかけて芸を仕込んだ”花形イルカ”であれば、興行面から貸し出しは難しくなる。イルカは独り立ちまで3年前後を要し、その間は母親が付きっきりで子どもの面倒を見る。飼育頭数の少ない小規模館では1頭を繁殖に回す余力に乏しいのも現実だ。
 「展示がメーンの動物園とは違い、水族館のイルカはショーを見せる形でやっている。集客がないと餌代も払えない。まずは経営を守ることが最優先」。こうした現状を踏まえ、奥山さんは「貸し出しの態勢の整備やルールづくり、血統管理などで今まで以上に協会の調整が必要。(海外に多い)人工授精も考えなければならない」と指摘する。
 陸上動物と違って飼育の難易度も格段に上がる。繁殖用プールの設置など、新たな設備投資が必要な場合もある。同館はこれまでも繁殖しいたイルカを他館に譲渡するなど、着実に実績を残してきた。
 繁殖の草分けとしての使命を奥山さんは語る。「協会の方から要請があれば技術的な協力や助言は惜しまない。水族館の仲間たち全体の問題として、できる限りのことはしたい」
●県内2施設、繁殖に今後も注力
 日本協会に加盟しイルカ・鯨類を飼育している県内の水族館は、新江ノ島水族館のほか、横浜・八景島シーパラダイス(横浜市金沢区)と京急油壺マリンパーク(三浦市)の2施設。両館とも以前から繁殖に取り組んでおり、今後も注力する方針だ。
 八景島はイルカ・鯨類33頭を飼育。約半数が太地町から来た個体という。1993年の開園時から繁殖にも取り組み、最近5年間では2頭が誕生、無事成長した。広報担当者は「協会の決定には従う。数年前から計画的に繁殖に取り組んでいる」。
 油壺は10頭のバンドウイルカを飼育している。繁殖では過去に3頭の出産例はあるが、いずれも生後1年以内に死んだ。広報担当者は「(今回いの決定とは関係なく)改善に努め、繁殖していきたい」としている。


河北新報オンライン
2015年05月22日金曜日
<イルカ問題>東北の水族館「繁殖」に力
イルカの入手方法をめぐり日本動物園水族館協会(東京)が世界動物園水族館協会(スイス)への残留を決めたことについて、東北の水族館には21日、決定を支持する見方が広がった。ただ、イルカ最大供給地の和歌山県太地町からの入手は今後困難になる。繁殖など新たな手段を迫られる。
 日本協会によると15日現在、東北の加盟水族館は浅虫水族館(青森市)、男鹿水族館GAO(秋田県男鹿市)、加茂水族館(山形県鶴岡市)、アクアマリンふくしま(福島県いわき市)の4施設。
 このうち唯一イルカを飼育している浅虫水族館は21日、「世界協会に残るという結果は間違いではない」との見方を示した。同館は飼育する10頭のうち6頭を太地町から得ている。太田守信館長は「長期的には繁殖に取り組む必要がある」と影響を指摘した。
 残虐と指摘された太地町でのイルカ追い込み漁を発端とした今回の動きに、同館のイルカショーを見学していた黒石市の小山悠さん(27)は「世界でも動物を捕って食べるのに、日本の文化だけ批判されるのはおかしい」と疑問を呈した。
 一方、単独で世界協会にも加盟するアクアマリンふくしまの安部義孝館長は「国際組織に加盟し関係を維持しながら運営するという決定は妥当だ」と強調した。加茂水族館の奥泉和也館長も「イルカを飼育展示する館同士が連携し、繁殖に力を入れるしかないのではないか」と語った。
 世界協会への残留を決め、動物園側は希少動物の確保に引き続き国際協力を得られる形となった。
 仙台市八木山動物公園は世界協会の仲介でスマトラトラ2頭をハワイやオランダから受け入れたといい、大内利勝園長は「会員としてさまざまな情報が得られ大きく役立つ」と前向きに受け止めた。
 盛岡市動物公園の辻本恒徳園長は「イルカの入手は大変になるが、広い視野で考えなければならない。協会全体で支援する必要がある」と指摘。秋田市大森山動物園の小松守園長は「協会が、会員のわれわれに世界から孤立していいかどうかの選択を迫るのはおかしい」と残留か離脱か決定の在り方に疑問を呈した。


どうしんウェブ
05/22 10:12
自然妊娠でイルカ確保 浅虫水族館
 日本動物園水族館協会が和歌山県太地町からイルカの入手を断念したことを受け、青森市の県営浅虫水族館は21日、今後のイルカの頭数確保は現在飼育しているイルカでの自然妊娠を軸に進める方針を明らかにした。将来的には人工授精の可能性もあるとして「繁殖は難しいとは思っていない」との見方を示した。
 現在同館にいるイルカは10頭。このうち、ショーを引退したオスのジム(34歳)と、メスのさくら(9歳)の2頭が、繁殖専用に飼育されている。
 同館では、自然妊娠でイルカの赤ちゃんが生まれたのは1993年が最後。太田守信館長は「繁殖の相性や年齢構成が合うペアがいなかった」と分析した上で「現在は開館から30年経ち、飼育技術も向上した。ジムとさくらのペアは相性が良く妊娠が期待できる。今後はうまくいくと思うし、うまくやっていかないといけない」と話した。
 一方、同館でこれまでに生まれたイルカ9頭のうち5頭は死産だった。同館によると、イルカの平均寿命は30~40年だが、9頭のうち最も長く生きたものでも7年だった。
 同館管理部広報企画担当の伊藤達志(たつゆき)次長は「繁殖行動が見られたら、メスの定期的な検査を徹底する」などと話し、健康な子どもを産ませるよう万全な体制で臨む考えだ。
 沖縄などの水族館では人工授精に成功している例もある。太田館長は「現在われわれにそこまでの技術はないが、情報を積極的に収集したい」と話す。国内ではこれまで、イルカでの例がなかった、動物園同士の動物の相互貸し借り「ブリーディングローン」も始まる可能性があるという。
 今後は、仮にショーに出ているイルカが妊娠したり、乳母役のイルカが必要になった場合、ショーに出演する個体数を減らした演出を考える必要もあるという。太田館長は「パフォーマンスだけではなく、繁殖に力を入れることで命の大切さを問題提起し、時代のニーズに合った水族館運営をしていかなければならない」と話した。


産経新聞
 5月22日(金)7時55分配信
追い込み漁でのイルカ入手断念、JAZA脱退の声も 水族館関係者「悔しい」「理不尽」
 日本動物園水族館協会(JAZA)が、追い込み漁で捕獲したイルカの入手を断念し、世界動物園水族館協会(WAZA)への残留を決めたことに対し、県内の水族館からは21日、JAZAの決定を疑問視する声があがった。今後、各水族館で連携して繁殖に注力する考えだが、長期的な影響を懸念してJAZA脱退を検討する施設もあり、波紋が広がっている。
  「非常に残念で、悔しい」。下田海中水族館(下田市)で、20年ほどイルカを飼育してきた、営業課長の浅川弘さん(44)はこう漏らす。追い込み漁がWAZAの倫理規定に反するとの指摘に対し、「『残酷だ』というが、何が残酷なのか具体的な説明はないし、科学的な根拠もない。感情論で押し切られた感は拭えない」と悔しさをにじませた。
 同館では、飼育している14頭のイルカのうち、8頭を和歌山県太地町から入手している。今後は、繁殖に力を入れる方針だが、繁殖用プールの確保や繁殖技術の向上などの課題があるほか、水族館単位で繁殖を続けると、近親交配によって遺伝的な多様性が失われるリスクもあるという。
 浅川さんは「今すぐに影響はないが、将来的に自然界のイルカが必要になるときがくる。そうなればJAZAから脱退をせざるを得ないだろう」と話した。
  伊豆三津シーパラダイス(沼津市)では、現在飼育している19頭のイルカの大半を太地町や伊東市から調達した。施設を運営する伊豆箱根鉄道の広報担当、志村博さん(51)は「JAZAの決定に従う」と理解を示した上で、「これからは、繁殖のために水族館がイルカを貸し借りする『ブリーディング・ローン』が一層盛んになるのでは」と語った。
  あわしまマリンパーク(同市)は、1日3回のイルカショーを開催。この日も、人気者の「ルカ」が次々とジャンプを決めると、客席から大きな拍手が送られた。東京都杉並区から見物に来ていた主婦の荒井迪子(みちこ)さん(81)は「水族館で一番見たいのはやっぱりイルカ。今回の件は“日本いじめ”のようにも感じる」と話した。
 同施設で飼育している3頭のバンドウイルカは、いずれも太地町から購入。佐藤充館長(40)は「水産資源が持続可能な漁獲枠の中での合法な漁なのに、一方的な価値観の押しつけは理不尽だ」と憤りを隠さない。イルカの入手ルートが断たれることから、JAZAからの脱退も検討しており、佐藤館長は「WAZAの言いなりになるのではなく、日本の正当性をきちんと世界に発信していくことが必要だ」と語った。



読売オンライン
2015年05月22日
「イルカショー存続を」…追い込み漁問題
 公益社団法人「日本動物園水族館協会」(JAZA)が20日、加盟する国内の水族館に追い込み漁で捕獲したイルカの入手を禁じ、「世界動物園水族館協会」(WAZA)に残留する道を選んだ。一夜明けた21日、イルカを飼育する県内の3水族館からは「決定に従う」との声がある一方で、施設運営への影響を懸念してJAZAからの脱退を示唆する声も出た。一方的なWAZAのやり方への不満に加え、繁殖が難しく、将来、飼育頭数が減るのではないかという不安が背景にある。
 沼津市のあわしまマリンパークでは21日、イルカのショーが平常通りに行われた。演じるのは和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたメス「ルカ」(推定4~5歳)。水しぶきを上げながら、豪快なジャンプなどを次々と繰り出す。観客席(約200席)は団体客と乳幼児の親子連れなどでほぼ満席。大技のたびに会場は拍手と歓声に包まれる。JAZAの決定について、来場した市内の20歳代の夫婦は「イルカのショーは水族館の代名詞。存続してほしい」と話す。
マリンパークでは、計3頭のイルカを飼育する。全て同町の追い込み漁で捕獲され、ルカは3年前、他の2頭は今年1月にやって来た。「ショーデビューまでの訓練期間は1年ほど。“新人”は現在、修業中です」と飼育担当者は語る。「決定は残念の一言。伝統的、合法な追い込み漁は捕獲計画も科学的根拠に基づく。WAZAの言う『残酷』とは何なのか。日本側に回答を示さず、一方的に残留か脱退かを迫るWAZAと、反論しないJAZAに不信感を抱いている」と、マリンパークの佐藤充館長(40)は語る。
その上で「捕鯨問題と同じで、欧米の価値観で問題解決を迫ってくる。対話すらなく、日本の伝統文化を否定する組織に残留する必要性はない。今後、JAZA脱退も選択肢の一つとして検討する」と話す。
 下田市の下田海中水族館の浅川弘営業課長も「JAZAには追い込み漁は正当だというこれまでの主張を貫いてほしかった」と話し、「将来的にイルカの入手が困難になった場合、JAZAからの離脱を検討する状況がありうる」とした。
 追い込み漁でのイルカの入手を断念する場合、新たな入手方法が課題となる。イルカの個体数維持に向け、繁殖を目指す意見もある。沼津市の伊豆・三津シーパラダイスは、太地町の追い込み漁捕獲分を含め19頭のイルカを飼育する。運営する伊豆箱根鉄道の広報は「JAZAの決定に従う。今後、繁殖努力で個体数を維持するしかなく、それには他施設との連携強化が必要になる」とした。ただ、道のりは簡単ではなさそうだ。佐藤館長は、「繁殖には新たな施設整備と維持管理が必要になり、地方の水族館は経営面の理由などで負担が大きく、極めて困難」と説明する。
 マリンパークも繁殖に取り組むが、ここ数年は死産続き。10年ほど前には赤ちゃんが誕生したが、島の周囲に網を張った専用プールに流れ込んだ漂流ゴミをのみ込んで死んだという。
県内の関係水族館は、今後、イルカをどう確保していくのか、新たな問題が突き付けられた形だ。



産経新聞
2015.5.22 07:05
「繁殖でイルカ頭数維持を」 大分の水族館「うみたまご」
 和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲したイルカの入手を断念すると日本動物園水族館協会が決めたのを受け、大分市の水族館「うみたまご」の田中平館長(59)は21日、記者団の取材に「残念だが、組織の決定には従わなければいけない。他の水族館からもイルカを借りて繁殖に挑戦し、頭数維持に努めたい」と強調した。



日本海新聞
2015年5月22日
イルカ繁殖技術確立へ 城崎マリンワールド意欲
 日本動物園水族館協会(JAZA)が追い込み漁によるイルカの入手禁止を決めたことを受け、イルカショーの開催をはじめ水族館経営への影響が懸念されている。こうした動きを踏まえ、兵庫県豊岡市瀬戸の城崎マリンワールドは、以前から取り組む繁殖技術の確立に努める構えだ。
 同館のイルカは、保護目的による入手が中心。現在飼育する17頭のうち15頭は、近隣の定置網に掛かり保護された個体。和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたのは、約20年前に入手した1頭のみとなっている。
 しかし、近年は網に掛かるイルカが減少。同館では安定確保に向けて3年ほど前から繁殖に取り組んでいるが、技術の確立には至っていない。これまで約10例の妊娠を確認したが、死産や早産、育児放棄などが相次ぎ、生存はわずか1頭。「イルカは十分に環境に慣れないと生殖行動に移らず、謎も多い」と難しさを強調する。国内での成功例も少ないが、飼育員を繁殖実績のある水族館に派遣するなど技術の向上を図っている。
 今後のイルカ確保の動きについて、同館は「技術が確立され繁殖が主流になった場合、血統の問題も生じる。今後は動物交換や情報共有など、一層の会員同士の連携が重要になってくるのでは」と展望している。




朝日新聞デジタル(青森)
2015年5月22日03時00分
「時代にあった運営を模索」浅虫水族館が会見
 日本動物園水族館協会(JAZA)が追い込み漁で捕らえたイルカの購入を禁止すると20日に決めたことを受け、JAZAに加盟する県営浅虫水族館(青森市)の太田守信館長は21日、同館で記者会見を開き、今後は館内での繁殖を目指す方針を示した。
 同館は東北で唯一イルカショーを実施。現在、追い込み漁をする和歌山県太地町(たいじちょう)から購入したバンドウイルカ6頭と、漁網にかかるなどして日本海で保護されたカマイルカ4頭を飼育している。1983年の開館以降、同町から購入したイルカは計25頭に上るという。
 太田館長は、JAZAが世界動物園水族館協会に残留か離脱かを問うた投票での同館の投票内容については「他施設に迷惑がかかる」として明らかにしなかったが、希少種の繁殖のための国際的な連携などを念頭に「(追い込み漁を問題視する世界動物園水族館協会に)残ったことは正解だと思う」と話した。ただ、「追い込み漁を見たことがあるが、漁師はイルカを丁寧に扱い、傷のない状態で提供してくれる。どこが残酷なのか」と述べた。



朝日新聞デジタル
2015年5月21日22時58分
大分の水族館「協会脱退も選択肢」 イルカ問題
 日本動物園水族館協会(JAZA)が世界動物園水族館協会(WAZA)への残留を決め、和歌山県太地町(たいじちょう)からイルカを購入できなくなる見通しの大分市の水族館「うみたまご」。
田中平館長(59)は21日、「JAZA脱退も選択肢の一つ」などと述べ、ほかの水族館と連携して
協会を抜ける可能性を示唆した。
 うみたまごの経営会社マリーンパレスは、津久見市の「イルカ島」と合わせたイルカ27頭のうち、
26頭を太地町から購入。だが、WAZAは、太地町の追い込み漁によるイルカ捕獲を「倫理規定に違反する」としてJAZAの会員資格を停止し、購入をやめなければ除名すると通告していた。JAZAは20日、加盟152施設の投票結果を受けて残留の希望をWAZAに伝えると決めた。
 田中館長は21日、うみたまごで記者会見を開き「追い込み漁はイルカを傷つけず捕獲する最良の方法」とした上で、「水族館が繁殖に取り組むのは使命だが、1~2年でできることではない。1カ月でイエスかノーか求めることに憤りを感じる」と強く反発した。


どうしんウェブ
05/21 22:45
新たなイルカ入手法模索 おたる水族館も「WAZA残留」
イルカの入手方法をめぐる問題に絡み、日本動物園水族館協会(JAZA)が世界動物園水族館協会(WAZA、スイス)への残留を決めた20日、残留に1票を投じたおたる水族館(小樽市祝津)の伊勢伸哉館長は「当館は直ちに死活問題に直面することはないが、世界とつながり続けることを選んだ以上、WAZAを通じて各国から飼育繁殖のノウハウを取り入れたい」と話した



毎日新聞 
2015年05月21日 21時23分(最終更新 05月21日 22時05分)
イルカ問題:JAZA脱退を示唆…大分の水族館
 日本動物園水族館協会(JAZA)が和歌山県太地(たいじ)町からのイルカ入手禁止を決めたことから、JAZA脱退を検討している大分市の水族館「うみたまご」の田中平(たいら)館長は21日、記者会見し「他の施設と協力してイルカを繁殖させ頭数を維持できるかにかかっている」と述べた。今月下旬に兵庫県姫路市であるJAZAの総会で他の水族館と協議し、他館との繁殖体制が取れなければ脱退する可能性を示唆した。田中館長は、既に購入したイルカの展示に影響はないとする一方、「野生の血を入れないと、(近親交配など)血統の問題が起きる。イルカの展示に将来はない」と述べ、JAZAの決定を批判した。
 うみたまごは運営会社が同じ「つくみイルカ島」(大分県津久見市)も含めて計27頭を飼育。うち26頭は太地から購入している。


毎日新聞 
2015年05月21日 19時05分(最終更新 05月21日 19時14分)
イルカ問題:ショー長期継続は 危機感強める水族館 茨城
 ダイナミックなイルカショーで知られる「アクアワールド県大洗水族館」(茨城県大洗町磯浜町)に、動揺が広がっている。日本動物園水族館協会(JAZA)が、同館の主な入手先である和歌山県太地町での追い込み漁による野生イルカの入手禁止を決めたためだ。同館のイルカの年齢は比較的若いため、当面、ショーの運営に影響はなさそうだが、長期的に継続するためには、新たな対策が迫られそうだ。
 世界動物園水族館協会(WAZA)は先月、日本の水族館のイルカの入手方法が改善されなければ、会員資格を停止すると通告した。これを受けJAZAは20日、加盟水族館などによる投票で、同町からのイルカ購入をやめることを決めた。大洗水族館は賛否を明らかにしていない。
同館では現在、カマイルカ2頭▽オキゴンドウ3頭▽バンドウイルカ4頭−−の計9頭のイルカを飼育している。オキゴンドウとバンドウは1999〜2007年、追い込み漁によって捕獲されたものを太地町漁業協同組合などから購入した。カマイルカは京都府の水族館から入手。9頭は交代でイルカショーに出演している。
 JAZAの決定によって、同館は有力なイルカの入手ルートを失った。決定を受け、石橋丈夫館長は「重く受け止めている。今後については、JAZAや県と協力しながら検討していく」とコメント。イルカの寿命は30〜50年とされ、同館のイルカは比較的若いことから、当面イルカショーの運営に影響はなさそうだ。ただ担当者は「病気や事故など、不測の事態も考えられる」と危機感を強めている。
 同館は今後、偶然網にかかってしまったイルカをいかに確保するかなど、これまでとは違った対応を迫られそうだ。同館には繁殖専用プールがないため、ここ10年は繁殖に成功していないが、「プールの増設を含めて対応を検討し、繁殖に力を入れる」(担当者)という。
 同館は21日も、イルカショーに大勢の観客が集まった。ショーは通常、1日4回開催。高さ約6メートルのボールへのジャンプやアシカを背中に乗せて泳ぐ姿を披露すると、会場を埋めた観客からは大きな拍手が湧き起こった。幼稚園の遠足の引率で訪れた阿見町の男性(44)は「イルカショーは子どもも大喜びで、水族館のメインイベント。これからも続けてほしい」と同館の今後の取り組みに期待した。



KYT鹿児島読売テレビ
 5/21 18:58
かごしま水族館 イルカの繁殖強化へ
イルカの追い込み漁をめぐり日本動物園水族館協会が加盟する国際団体から除名を通告された問題で、日本協会は追い込み漁によるイルカの入手をやめ、国際団体に残留することを決めた。鹿児島市のかごしま水族館でも、9頭いるイルカのうち7頭が和歌山からきている。今回の問題に見物客は、「言い出したらきりがない。他の動物も結局捕まえたり食べたりしている。水族館でイルカはかわいがられているのに」と話した。かごしま水族館の荻野洸太郎館長は、「いつまでも野生のイルカを入れることよりも、日本の水族館も繁殖に力を入れていい時期だと思う」と、話した。しかし、繁殖は簡単なことではない。かごしま水族館ではこれまで11頭の妊娠例があるが、順調に成長しているのは2頭のみ。職員の経験や技術、繁殖のための環境面など難しい部分もあるが、繁殖への取り組みを進める方針だという。現在、かごしま水族館では2頭が妊娠していて、何とか成功させたいとしている。


NHK津
05月21日 18時38分
県内の水族館の反応
 「日本動物園水族館協会」が、追い込み漁によって捕獲したイルカの入手を禁止することを決めたのを受け、伊勢市の水族館「二見シーパラダイス」の担当者は「今後は他の水族館と連携を強化し、繁殖の方法を模索していきたい」と話しています。
 日本動物園水族館協会に加盟する伊勢市の「二見シーパラダイス」では、現在、飼育している3頭のイルカすべてが和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカです。
客がイルカとキャッチボールするなどして直接触れ合えることからイルカは水族館の呼び物となっています。
二見シーパラダイスの竹内義樹副部長は、「世界中の動物園や水族館と情報共有できるという点で、国際組織に残留するという決定は妥当だったと思う」と話しました。
ただ追い込み漁で捕獲したイルカを入手できなくなることについては「イルカの展示を維持していくことは正直、苦しくなると思う。今後は他の水族館と連携を強化し、繁殖の方法を模索していきたい」と話しました。そのうえで、「イルカに頼らない水族館の運営を考えていきたい」と話しました。
水族館を訪れていた50代の女性は、「イルカが見られなくなるかもしれないのでとてもさびしい」と話し、40代の男性は、「水族館や動物園の将来のことを考えると、今回の決定は仕方ないと思う」と話していました。
 いっぽう、鳥羽水族館の仲野千里館長は「今回の決定は施設に直接影響はないが、イルカショーは、水族館にとって重要な要素であり、議論もなく投票で残留を決めた協会の運営方法は納得がいかない」と話し、決定を評価しない意向を示しました。
鳥羽水族館では追い込み漁で捕獲したイルカは飼育しておらず、海外で捕獲し、繁殖させたイルカを飼育しています。
 日本動物園水族館協会に加盟する志摩マリンランドはイルカは飼育していませんが、「今回の決定が、希少動物の種の保存や繁殖技術の向上につながるきっかけになってほしい」と話しています。



NHK
5月21日 17時56分
イルカ問題で水族館にアンケート
 追い込み漁で捕獲されたイルカの入手を禁止する日本動物園水族館協会の決定を受けて、NHKでは協会に加盟する63の水族館に聞き取り調査を行い、62の施設から回答を得ました。協会の今回の決定については、「評価する」と回答した施設が19、「評価しない」が10、「無回答」が33でした。
 このうち、和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカを展示していると回答した施設は24あり、イルカの数は合わせておよそ200頭に上ります。
 この24の施設に今後の影響について尋ねたところ、「影響がある」が15、「影響はない」が7、「無回答」が2で、およそ6割の施設が何らかの影響を受けると答えました。
具体的には、繁殖を行うのに必要な専用プールの設置などの費用の負担が増えることや、計画的にイルカを入手できなくなるなどの影響を心配する施設が多くなっています。さらに、大分県、和歌山県、静岡県にある4つの水族館は、日本動物園水族館協会からの脱退を「将来的に考えている」と回答しました。



千葉日報web
2015年05月21日 12:22
協会の決定に従う」 鴨川シーワールド イルカ入手問題
日本協会会員の鴨川シーワールド(鴨川市)は、飼育するバンドウイルカ13頭のうち4頭が和歌山県太地町から、1頭が静岡県から入手。8頭は館内で繁殖し、1999年を最後に太地町からは入手していないという。
 太地からの入手断念を受けて広報担当者は「現時点で困ることはないが、今後繁殖が順調にいくか分からないので、影響がないとは言えない。協会の決定に従い、内容を検討した上で行動していきたい」と話した。



福井新聞
(2015年5月21日午前7時10分)
イルカ問題、松島水族館は大丈夫? 協会の太地町からの入手断念影響は
日本動物園水族館協会は世界動物園水族館協会への残留を決め、和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカの入手は断念した。日本動物園水族館協会には、福井県坂井市三国町の越前松島水族館も加盟。鈴木隆史館長は同日の理事会に出席し、一票を投じた。同水族館では、和歌山県太地町から入手したイルカも飼育しているが、独自に繁殖用の設備を持ち実績も挙げていることから、「追い込み漁による入手断念の判断に、早急に対応するべきことはない」
(鈴木館長)としている。
同水族館では現在、太地町から2009年までに入手した5頭を含むバンドウイルカ7頭と、カマイルカ4頭を飼育している。カマイルカは全頭、県内で定置網に掛かり保護したもの。
バンドウイルカについては、90年代から繁殖事業を水族館経営の柱と位置付け、古いプールを取り壊さず繁殖用に活用。96年と12年に各1頭の繁殖に成功している。
イルカの寿命は約40年とされるが現在、同水族館で最も長く飼育されているイルカでも約20年。太地町から入手する予定もなく、「イルカショーなどへの影響は少なくとも4、5年はない」(同館長)としている。
しかし、その一方で鈴木館長は「今回の決定は、全国の水族館にイルカの繁殖を共通課題と位置付けたとも言える」と指摘。「今まではほとんど実施されてこなかった水族館同士のイルカの交換や、雄のやりとりなども行われることになるだろう」とし、「他の水族館との連携を強化し、繁殖事業に注力していきたい」と話した。



NHK
5月21日 5時03分
追い込み漁のイルカ入手禁止 影響心配の声も
 水族館で展示するイルカの入手方法を巡って国際組織から除名処分にすると通告されていた「日本動物園水族館協会」は、組織に残留するため「追い込み漁」で捕獲されたイルカの入手を禁止することを決め、20日夜、国際組織に回答しました。水族館からは影響を心配する声も上がっています。
 国内のおよそ150の動物園や水族館が加盟する「日本動物園水族館協会」は、国内の水族館が和歌山県太地町で行われている「追い込み漁」によって捕獲されたイルカを入手していることが倫理規定に違反するとしてWAZA=「世界動物園水族館協会」から除名処分にすると通告されていました。
 協会では、各施設に意向を聞くため投票を求めた結果、WAZAへの残留の希望が99票と、離脱の43票を上回り、組織に残留するため、加盟する水族館が追い込み漁で捕獲された野生のイルカを入手したり、輸出に関わったりすることを禁止することにし、20日夜、WAZAに回答しました。協会は、イルカの繁殖の促進に取り組んでいくとしていますが、追い込み漁に入手を頼ってきた水族館からは影響を心配する声も上がっています。
 イルカの生態や繁殖に詳しい三重大学大学院の吉岡基教授は「これまで以上に、水族館どうしや技術協力できる研究機関、それに国も一緒に連携して繁殖に取り組むことが重要だ」と指摘しています。
 水族館「戸惑いがある」
 年間50万人以上が訪れる新潟市の水族館、「マリンピア日本海」では、7頭いるイルカのうち3頭が和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたバンドウイルカです。毎年、来場者を対象に行っているアンケートでは、イルカの人気が最も高いということで、水族館の展示には欠かせないものとなっています。
加藤治彦館長は「追い込み漁は、合理的なものでどこが残酷なのか定義がされていないなかで戸惑いがある。地方の特性に配慮せず判断を急いだ世界動物園水族館協会のやり方は稚拙だったと感じる。今後の対応は日本動物園水族館協会の方針を待って判断するが、イルカを飼育するわれわれもどういう提案ができるのか、自分たちの問題として考えなければならない」と話していました。
 米 イルカ捕獲は法律で原則禁止
 現在、全米およそ20か所の水族館などで、400頭以上のイルカが飼育、展示されていますが、その3分の2は繁殖によって水族館で生まれたイルカです。
アメリカの水族館でつくる団体によりますと、イルカの人工繁殖や健康管理の技術の向上、さらに施設の充実などによって、その数は増え続けているということです。
残る3分の1は、1980年代までに捕獲されたイルカや、海岸に打ち上げられ保護されたイルカなどとなっています。アメリカ政府は、イルカの輸入も、許可制で認めていますが、日本の追い込み漁で捕獲されたイルカは、「非人道的な方法で捕獲されている」として、輸入を認めていません。
アメリカでは、イルカの保護団体からショーを目的とした繁殖はやめるべきだなどの指摘も出ていますが、世論調査では90%の市民が教育的な観点から水族館でのイルカの展示を支持しているという結果が出ており、イルカは今も多くの水族館にとって人気の展示となっています。
アメリカの水族館でつくる団体の担当者は、NHKの電話取材に対し「日本の水族館には、すでに十分な数のイルカがいるので、今後は、繁殖能力の向上に集中した方がよいのではないか。小さな水族館が単独で対応するのは難しいかもしれないが、水族館同士が協力態勢を築いたり、アメリカから技術支援を受けたりすることで解決は可能だと思う」
と話しています。



朝日新聞デジタル(北海道)
2015年5月21日03時00分
太地のイルカ、道内にも 協会方針に水族館困惑
 日本動物園水族館協会(JAZA)が20日、和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲したイルカを今後購入しないと決めた。世界動物園水族館協会(WAZA)に残留するためだ。道内にも太地町で捕獲されたイルカが少なくない。
 小樽市の「おたる水族館」ではこの日、イルカスタジアムの600トンプールでオス4頭によるショーがあった。20歳を超えるリーダー格「トミー」だけは静岡県から来たが、ほか3頭は太地町で捕獲されたバンドウイルカ。美唄市から修学旅行で来た中学生らがトレーナーの音頭で手拍子を送っていた。
 伊勢伸哉館長は「繁殖に必要な野生の個体を入手するのに、追い込み漁以外の手段がないわけではない。技術や費用面でハードルは高いが、他の水族館と個体を交換する方法もあるのでは」と話した。


(朝日新聞デジタル 2015年5月21日00時07分)
イルカ追い込み漁停止、頭を抱える水族館も
 イルカ確保、今後の道は 展示と繁殖、強まる保護の要請
 国際組織にとどまって海外と希少動物を貸し借りするルートを温存するのか。縁を切って追い込み漁で捕まえたイルカの入手を続けるのか。日本動物園水族館協会(JAZA)が20日に出した決定は「残留」だった。追い込み漁の地元や各地の水族館に動揺が広がった。
 国際組織の世界動物園水族館協会(WAZA)が問題視したイルカの追い込み漁が日本で唯一おこなわれている和歌山県太地町(たいじちょう)。
 「町立くじらの博物館」はこの日夕、JAZAの決定を受けて記者会見をした。桐畑哲雄副館長(55)は「追い込み漁の重要性や地域特性を説明してきたつもりだが、残念だ」と悔しさをにじませた。「(追い込み漁が)まかりならんということであれば、甘んじて(JAZAの)除名処分を受けるということもあり得る」
 三軒一高町長も取材に対して「町の漁業は国の科学的根拠に基づく捕獲枠のなかで、和歌山県知事が許可を出して合法的に行っている」と説明。「JAZAの決定は、苦渋の選択だったのだろうが残念だ」と話した。
 同町では昨年9月~今年4月の追い込み漁で、小型のクジラを含む計937頭を捕獲。バンドウイルカ40頭など計84頭が、水族館や動物商に売られたという。
 町からイルカを入手し、展示してきた水族館は、今後イルカをどう確保していくのか、という問いを新たに突きつけられた。
 北海道登別市の「登別マリンパークニクス」の桑山未来館長は「水族館の存続に関わる重大な決定だ」と頭を抱えた。飼育する8頭のイルカのうち、4頭を太地町から入手。イルカショーは同館の目玉だ。「いずれショーができなくなるかもしれない」





産経ウエスト
2015.5.21 00:14
追い込み漁での入手継続」太地町くじらの博物館
 追い込み漁を行っている和歌山県太地町の地元、同町立くじらの博物館では20日夜、林克紀館長と桐畑哲雄副館長が記者会見し、桐畑副館長が「追い込み漁は合法的なもので、当館は追い込み漁とともにある。今後も必要があれば、追い込み漁で捕獲したイルカを入れていく」と述べ、追い込み漁によるイルカの入手を続ける考えを示した。
 同館は太地町の追い込み漁で捕獲されたバンドウイルカや、ハナゴンドウクジラなど約50頭を飼育している。
 午後7時前から、博物館の講演映写室で開かれた記者会見には、約30人の報道陣が詰めかけた。
 林館長は「JAZAは、WAZAとの間に入って調整をしてくれただけに、苦渋の決断だったのではないか」と関係者の尽力をねぎらった。追い込み漁による入手を続けることで、同館がJAZAから除名される可能性があることについては、桐畑副館長が「今後もう一度、追い込み漁についてJAZAにも説明し、町とも相談して対応を協議していきたい」と説明した。しかし、「それでもだめなら除名処分も甘んじて受け入れる」と苦渋の表情で語った。
 同館では、追い込み漁で捕獲したバンドウイルカのショーなどが人気を集めている。イルカやクジラに直接、触れることができるコーナーなどが子供たちに人気で、京阪神や名古屋方面からの来館者でにぎわっている。
2015.5.21 00:07
関係者反応、天王寺動物園「穏便にと思っていたのでよかった」
 イルカの入手方法を漁から繁殖に転換したJAZAの決定に国内の関係者からは安堵の声が漏れる一方、複雑な反応もみられた。
 大阪市立天王寺動物園の広報担当者は「動物園の多くは加盟継続に賛成したのではないか。WAZAの勧告を拒否するのではなく、穏便に解決してほしいと思っていたのでよかった」と胸をなで下ろした。
 神戸市の須磨海浜水族園では、飼育しているイルカ7頭のうち6頭を和歌山県太地町で入手。繁殖計画に取り組もうとした矢先だっただけに動向を注視していた。担当者は「今回の決定が、さまざまな議論が進むきっかけになるのではないか」と話した。
 これに対し、8頭のイルカを飼育している京都市の京都水族館の反応は「コメントできない」だった。
 一方、鹿児島市の「いおワールドかごしま水族館」の荻野洸太郎館長は記者会見し、追い込み漁によるイルカ入手に反対するWAZAへの残留に票を投じたと明らかにした。



中日新聞
2015年5月20日朝刊
追い込み漁イルカ、入手断念へ 日本協会、20日に結論
和歌山県太地町の伝統的な追い込み漁によるイルカの入手を続けるか、断念して世界からの孤立を避けるか-。イルカの入手方法をめぐり、世界動物園水族館協会(WAZA)から会員資格を停止され、除名も通告されている日本動物園水族館協会(JAZA)は二十日午後、理事会で結論を出す。加盟する国内の動物園と水族館による投票結果を反映する予定だが、入手断念がほぼ確実な情勢で、水族館側には、困惑が広がっている。
 中日新聞がJAZAに加盟する百五十二施設にアンケートしたところ、十九日までに回答を寄せた六十二施設のうち入手断念支持が二十五、反対が四だった。中部地方では、三十七施設のうち、外国産のトラやゾウを飼育する豊橋総合動植物公園(愛知県豊橋市)など動物園十一園と、イルカを飼育していない魚津水族館(富山県魚津市)など水族館三館が入手断念支持を明言。動物園一園と水族館二館が反対を表明し、ほかは「迷っている」「JAZAの決定に従う」などと回答を避けた。
 WAZAから除名されると、世界各国の動物園が飼育するトラやカンガルー、サイ、ツルなど希少な動物の繁殖に必要な血統情報を得たり、「種の保存」を目指す国際的な繁殖事業に参加できなくなる恐れがある。WAZAに単独で加盟している東山動物園(名古屋市)や上野動物園(東京都)を除く大多数の園は、外国産の動物の入手や繁殖への悪影響が懸念される。
 加盟百五十二施設のうち水族館は四割の六十三館。しかもイルカを飼育するのは名古屋港水族館(名古屋市)や鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)など三十四館だけだ。その内情も、自前の技術、設備で繁殖に成功していて当面イルカを入手する必要のない館、イルカショーが売りだが繁殖技術がない館など、さまざまな事情を抱えており、一枚岩になれない。
 イルカを飼育する東海地方の水族館の館長は「これまで散々お世話になったのに、間違いなく『太地を切り捨てる』という結論になる。イルカの繁殖が不可能な館はJAZAを脱退して独自に入手するしかないのでは」と懸念する。別の水族館長は「数の力で絶対に勝てない戦いを強いるJAZAのやり方に疑問がある」と批判した。
 JAZAの幹部は「複雑な問題があることは分かっているが、ほかにみんなが納得できる方法はない。確かに水族館に同情する動物園もあっても、少数だろう」と話している。



西日本新聞
2015年05月20日(最終更新 2015年05月20日 04時00分)
イルカ追い込み漁問題、九州3水族館を直撃 国際組織への残留可否20日に結論
 イルカの入手方法をめぐり、日本動物園水族館協会(JAZA)が世界動物園水族館協会(WAZA、スイス)から会員資格を停止された問題で、JAZAは19日、WAZAに残留するかを決める会員投票を締め切った。20日に開票、多い方をJAZAの結論とし、締め切りの21日までにWAZAに回答する。
 WAZAは、JAZA会員の水族館が、和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカを入手していることが倫理規定に違反していると指摘。4月21日付での会員資格の停止と、5月21日までに改善されない場合の除名を通知していた。
 JAZAによると、WAZAからの通知内容を動物園89園、水族館63館にメールなどで説明し、各施設がメールやファクスなどで投票。19日午後5時に締め切った。
 WAZAに残留して太地町のイルカが入手できなくなると、将来的にイルカ入手が難しくなる水族館が出てくる可能性がある。一方でWAZAの会員資格がなくなった場合、希少動物の繁殖などで海外から協力を得にくくなる恐れがある。
    ◇    ◇
繁殖困難、イルカショーに暗雲
 全国の動物園と水族館が加盟するJAZAがWAZAの通知通り、和歌山県太地町の追い込み漁で捕れたイルカを購入しないと結論付け、購入ができなくなると水族館で人気のイルカショーはどうなるか。九州の水族館関係者にも存続を危ぶむ声が上がっている。
 水しぶきが客席にかかるたびに歓声が上がる。日曜の17日、福岡市東区の水族館「マリンワールド海の中道」のイルカショーは家族連れでにぎわっていた。
 西日本一のイルカ展示施設を持つ同館。飼育する21頭のうち11頭を太地町から入手している。協会の九州沖縄ブロックの代表理事でもある高田浩二館長は「太地町のイルカ漁は国内法で認められ、漁は日本固有の文化。購入が問題とは思わない」と話す。
 WAZAに残留するには、太地町からのイルカ購入をやめるのが前提条件。WAZAに加盟していないと、将来的に野生動物の入手や繁殖のための個体の貸し借りが困難になるため、加盟数が多い動物園側の意向が反映される可能性が高いとみられる。
 イルカを展示している九州のJAZA加盟の水族館は、マリンワールド、大分マリーンパレス水族館「うみたまご」(大分市)、いおワールドかごしま水族館(鹿児島市)の3カ所で、計44頭を飼育。いずれも太地町から購入しており、同町産は計31頭に上る。飼育されるイルカの寿命は二十数年とされるが、「購入をやめれば徐々に減るのは避けられない」(九州の水族館飼育担当者)といい、イルカショーの存続にも影響が出ると指摘する。
 購入せずにショーを続けるには、水族館で繁殖していく方法があるが、別の水族館展示担当者は「繁殖は購入より費用がかかり、規模の小さな水族館では難しい」と対応に苦慮する。
 動物園側も投票結果への関心は高い。福岡県内の動物園飼育担当者は「動物園も水族館も生き物の福祉を考えた運営をしていくのが世界の今の流れ。協会に残って流れに従っていかなければ、今後の展示がますます困難になる」と心配する。



朝日新聞デジタル(富山)
2015年5月20日03時00分
イルカ漁めぐるWAZA脱退問題 県内3園に聞く
 和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカの飼育を世界動物園水族館協会(WAZA、スイス)から問題視され、国内の動物園、水族館が揺れている。WAZAに残留するか脱退するかを、日本動物園水族館協会(JAZA、東京)が加盟する国内152の動物園、水族館に問うており、20日に結果発表される。県内にイルカの飼育施設はないが、JAZA加盟の3園に対応を聞いた。
 県内唯一の水族館である魚津水族館の稲村修館長は「残留」を求めた。「イルカを飼っていないので、結論がどちらでも直接の影響はない。ただ、WAZAを抜けるのは好ましくない」
国内の動物園、水族館は繁殖時の近親交配を避けるため、飼育動物の血統を登録した上で全国的に動物の貸し借りや交換をしている。だが、希少種は国内では個体数が足りないので、世界中と連絡を取り合わねばならず、WAZAのネットワークが活用される。



朝日新聞デジタル(茨城)
2015年5月19日03時00分
イルカショー、存続波高し 悩む大洗水族館
 和歌山県太地町の追い込み漁で捕まえたイルカの入手をめぐり、日本動物園水族館協会(JAZA)が世界動物園水族館協会(WAZA)から改善を求められている問題で、イルカを飼育するアクアワールド大洗水族館(大洗町)もその行方に不安を募らせている。大洗水族館も太地町からイルカを入手しており、このルートが絶たれれば、今後の飼育計画が不透明となるからだ。
 大洗水族館で毎日開かれる「イルカショー」。イルカが高さ5メートルのボールに向かってジャンプしたり、アシカを乗せて遊泳したりする演技は、人気イベントとして多くの観客を呼び込んでいる。石橋丈夫館長は「うちではイルカはサメとマンボウに並ぶ目玉の動物。それだけに今回は水族館の存続にかかわる重大問題と受け止めている」と話す。
 大洗水族館では現在、バンドウイルカ4頭、オキゴンドウイルカ3頭、カマイルカ2頭の計9頭が飼育されている。バンドウとオキゴンドウの7頭は1999~2007年に太地町の漁協組合から購入し、カマイルカは、日本海の定置網にたまたま引っかかったものを京都府の水族館から譲り受けたという。



西日本新聞
2015年5月17日
イルカ購入 水族館苦悩 日本協会 国際組織除名の危機 中小、自前の繁殖難しく
 日本動物園水族館協会(JAZA、東京)が国際組織から会員資格を停止された。国内の水族館が和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカの購入をやめなければ、最終的には除名となる。動物繁殖のための国際協力の枠組みから排除される懸念がある一方、中小の水族館にとってイルカが入手できないのは死活問題。JAZAは難しい判断を迫られている。
 「追い込み漁で捕獲したイルカの購入は倫理規定に反する」。世界の300以上の団体などが加盟する世界動物園水族館協会(WAZA)は、4月21日に本部のあるスイスで開いた理事会でJAZAの会員資格停止を全員一致で議決した。
 JAZAには動物園89、水族館63が加盟。イルカは繁殖が難しいため多くの水族館が太地町で捕獲した個体を購入しており、年間計約20頭が取引されるという。

 水族館側の事情はさまざまだ。大手の新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)では、飼育するバンドウイルカ10頭のうち太地町からの入手は(のちに訂正)野生個体(伊東市2頭、壱岐市1頭)が3頭で、7頭は繁殖。太地町との取引は20年近くなく「長期的な影響は未知数だが、太地町から調達できなくなってもすぐに困ることはない」という。



2 件のコメント:

  1. 速報的ではありますが、素晴らしいまとめだと思います。いつも尊敬してます。

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    1. Tsuyoshiさん☆
      尊敬なんてー!いやぁぁぁぁー!もっと言って!(違)
      ほしい情報がなければ作ってしまえ、という思い付きです(;・∀・)

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